【卓球】2018年9月世界ランキング、平野美宇は9位

国際卓球連盟(ITTF)のホームページで2018年9月の世界ランキングが発表されました。


今回の世界ランキングでは、8月にワールドツアーが2大会あったものの上位のポイントや順位の変動は少なかったです。これは、8月にアジア競技大会があったため中国の上位選手やアジアの主力選手が出場を回避したためです。そんな中で、アジア競技大会には出場しないためブルガリアオープンに出場した中国の丁寧がポイントを増やし、順位を上げています。

また、日本の女子選手はポイントを下げている選手が多いです。これは、昨年のブルガリアオープンでは中国選手が出場せず、日本選手がベスト16を独占するという状況が起こったので昨年のこの8月の2大会でポイントを稼いだ選手が多く、そのポイントが先月で失効したため同じくらいのポイントが稼げなかった選手は軒並みポイントを落としています。

平野美宇は昨年8月はワールドツアーに出場していないため失効するポイントはないのですが、今回の大会はどちらも準々決勝敗退でランキングポイントに加算できるポイントにならず、ポイントも順位も変更がありませんでした。


9月のランキングポイントは原則2017年9月から2018年8月に行われた大会が対象になります。8月に行われた大会では以下の大会がシニアのポイントの対象となります。


  • ブルガリアオープン(ワールドツアー)
  • チェコオープン(ワールドツアー)
  • ナイジェリアオープン(チャレンジシリーズ)
  • アジア競技大会(マルチスポーツゲームズ)
ワールドツアーはワールドツアープラチナより格が低く、ポイントや賞金も低くなります。優勝でのポイントは1800ポイントです。チャレンジシリーズはさらに格が低くポイントもワールドツアーの半分になり優勝で900ポイントになります(ポイントの説明についてはこちら)。アジア競技大会は卓球競技が8月26日~9月1日の開催ですが、8月の大会としてポイントが加算されると思いますが、9月の世界ランキングの発表が9月1日だったため、9月の大会(10月の世界ランキングで算入)になりまするのかもしれません。ポイントはさらに低く、チャレンジシリーズの3分の1になり、優勝で600ポイントです
[10/2追記]アジア競技大会は10月の世界ランキングに算入されたため、それにともない修正しました。

ではまず今月のランキングを見てみましょう。
 *カッコ内は前月順位 女子 ポイント 男子ポイント 
 1朱雨玲(中国)(1) 16524(±0)樊振東(中国)(1)17001(±0) 
 2劉詩雯(中国)(2)15669(±0) 許昕(中国)(2)15610(+225)
 3陳夢(中国)(3)15294(±0) 林高遠(中国)(4) 15189(±0)
 4石川佳純(日本)(4) 15135(±0)ティモ・ボル(ドイツ)(3) 15025(-180)
5 王曼昱(中国)(5)15105(±0) オフチャロフ(ドイツ)(5) 14375(-540)
 6丁寧(中国)(7) 14784(+900)馬龍(中国)(7) 13950(+450)
 7伊藤美誠(日本)(6) 13910(-270)李尚洙(韓国)(8) 13374(±0)
 8鄭怡静(台湾)(8) 13231(±0)張本智和(日本)(6) 13314(-270)
 9平野美宇(日本)(9) 13193(±0)黃鎮廷(香港)(10) 12969(±0)
 10陳幸同(中国)(10) 12708(±0)カルデラノ(ブラジル)(9)
 12815(-540)
 11馮天薇(シンガポール)(11) 12565(±0) 丹羽孝希 (11)
 12466(±0)
 12徐孝元(韓国)(12) 11954(±0) 水谷隼 (12)
 11970(±0)

(注)ポイントのカッコ内は前月からの増減です。

 今回の世界ランキングでは、すでに書いたように8月にワールドツアーが2大会あったものの世界ランキングで上位を占めるアジアの選手が日本以外はあまり出場しなかったためランキングポイントが変わらず、その結果順位もほぼ変わっていません。そんな中で、順位は1つ上げただけですが900ポイントを増やし上位に迫っているのが丁寧です。丁寧はブルガリアオープンに出場し優勝して1800ポイントを獲得しました。8月の世界ランキングで説明したように丁寧の最低ポイントは900ポイントだったので、このポイントと入れ替わって900ポイント増加しました。丁寧は9月末の女子ワールドカップに出場するので、ここで優勝すればさらに1000ポイントほど増やして2位に上がる可能性があります。

 一方、日本の女子選手はポイントと順位を下げている選手が多いです。これは、昨年のブルガリアオープンでは中国選手が出場せず、日本選手がベスト16を独占するという状況が起こったので昨年のこの8月の2大会でポイントを稼いだ選手が多く、そのポイントが先月で失効したため同じくらいのポイントが稼げなかった選手は軒並みポイントを落としています。

そんな中で、ポイントを伸ばし順位を大きく上げたのが芝田沙季です。芝田沙季は昨年のブルガリアオープンとチェコオープンにも出場していますが、ブルガリアオープンは2回戦で伊藤美誠に負け、チェコオープンでも1回戦敗退であまり振るいませんでした。しかし今年は、ブルガリアオープンは2回戦敗退でしたがチェコオープンは準決勝まで進んだため、ランキングポイントを450ポイント増やしランキングを19位から16位に上げ日本選手5位になりました。さらに、14位の佐藤瞳とも47ポイント差で日本選手4位も照準に入って来ています。芝田沙季はワールドツアーで準決勝まで進んだのは今年の中国オープン以来今年二度目で確実にワールドツアーでの結果を出しており、さらに確実にワールドツアーでシードを取れる順位に上がって来たため、来年1年間の東京オリンピックに向けた順位争いには確実に絡んでくると思われます。

 男子は、張本智和がブルガリアオープンもチェコオープンも準決勝まで進んだのですが、昨年のチェコオープンが優勝だったのでポイントを増やした馬龍とポイント変動のなかった李尚に抜かれて8位に下がりました。馬龍はブルガリアオープンに出場して1回戦敗退だったのですがランキングポイントに加算されている大会が8大会になっていなかったので、450ポイントがそのまま加算されました。

 そのほかの主な日本選手の順位は、女子は佐藤瞳が14位(14位)、加藤美優24位(18位)、早田ひな25位(16位)、橋本帆乃香31位(27位)、長﨑美柚34位(38位)、浜本由惟42位(31位)となっています。

男子は、松平健太が23位(19位)、吉村真晴27位(27位)、大島祐哉28位(32位)、森薗政宗38位(41位)、上田仁47位(28位)になっています。

12月のグランドファイナルに向けた戦い

 ITTFワールドツアーの大会には、通常のワールドツアーの大会とそれより格の高いワールドツアープラチナ大会があり、1年間にそれぞれ6大会ずつ行われます。そして、これらの大会の締めくくりとして12月に行われる大会がもう1つあり、それがワールドツアーグランドファイナルです。

ワールドツアーグランドファイナル(以下グランドファイナル)は、ワールドツアープラチナよりさらに格が高く優勝ポイントではワールドカップに並びます。

そのため、世界ランキングを上げるためにもこのグランドファイナルに出場することは重要で、すべての選手が出場したいと思いますが、出場できる選手数シングルスでは男女それぞれ16選手に制限されており、その内容は以下のようになっています。

  • 累積ワールドツアーポイントの上位15選手
  • 1つの国当たりの選手数の制限はない
  • グランドファイナル開催国の選手1名
  • 開催国の選手が上位15名に含まれる場合は上位16名となる
ここでいう「ワールドツアーポイント」は世界ランキングを決めるポイントとは別のワールドツアー独自の「POINTS ALLOCATION FOR ITTF WORLD TOUR STANDINGS」という表で定義されたポイントです。出場したワールドツアーの成績によってこの表に基づいて与えられるポイントで、正式な名称はないようなので仮にこう呼びます(獲得したポイント状況は「ワールドツアースタンディング」と呼ぶようです)。

シニアの男子・女子シングルスのポイントだけまとめると以下のようになります。

 結果ワールドツアープラチナ  ワールドツアー
優勝  500 250
 準優勝 300 125
 準決勝敗退 200 63
 準々決勝敗退 100 31
 2回戦敗退(R16) 50 16
 1回戦敗退(R32) 25 8

ワールドツアーポイントは、ランキングポイント用のポイントと比較すると以下の特徴があります。


  • 対象はワールドツアープラチナ大会とワールドツアー大会のみ
  • 本戦に出場しないとポイントが付かない
  • ランキング用ポイントに比べて結果による差が大きい(例えば、ワールドツアープラチナで世界ランキング用ポイントでは優勝が2550で1回戦敗退は1125と半分だが、ワールドツアーポイントは優勝が500で1回戦敗退が25と20分の1)
  • 何大会分でもカウントできる(ただし、最低5大会に出場しないとグランドファイナルに出場できない)
このため、全12大会に出場すると獲得したポイントはすべて加算されますが、なかなか高いポイントを取ることが難しいシステムになっています。

さて、8月のワールドツアー2大会が終わってワールドツアーは11月のスウェーデンオープンとオーストリアオープン(プラチナ大会)の2大会のみになっていて、この2大会が終わると参加16選手が決まります。
そこで次に、現時点(チェコオープン終了時点)でのシニアのシングルスのワールドツアーポイントの上位20選手(ワールドツアースタンディング)を見てみます。
 女子選手名累積ポイント 男子選手名 累積ポイント 
1 王曼昱(中国)
 1525(6) 許昕(中国) 1325(6)
 2 石川佳純(日本) 1520(9)樊振東(中国) 1050(3
 3劉詩雯(中国)1294(5) 馬龍(中国) 1039(4
 4 丁寧(中国) 950(5) 張本智和(日本) 801(8)
 5 伊藤美誠(日本) 827(9) 林高遠(中国) 600(3
6  朱雨玲(中国) 575(3張禹珍(韓国) 574(7)
 7 徐孝元(韓国) 547(7) ウーゴ・カルデラノ (ブラジル) 538(6)
8  陳夢(中国) 531(3 フランツィスカ (ドイツ) 453(8)
 9 佐藤瞳(日本) 445(9) 林鐘勲(韓国) 446(7)
 10鄭怡静(台湾) 431(6) 水谷隼(日本) 425(5)
 11 芝田沙季(日本) 429(8)李尚洙(韓国) 419(7)
 12 陳幸同(中国) 426(7) 梁靖崑(中国) 416(3
 13孫穎莎(中国) 416(6)黃鎮廷(香港)
 399(6)
 14 平野美宇(日本) 409(9)劉丁碩(中国) 363(4
 15馮天薇 (シンガポール) 399(7) 大島祐哉(日本) 349(8)
 16 田志希(韓国) 300(7)鄭培鋒(中国)
 281(2
17 何卓佳(中国) 279(3 丹羽孝希(日本) 272(8)
 18 梁夏銀(韓国) 250(7) 荘智淵(台湾) 271(9)
 19王芸迪(中国) 249(4 吉村和弘(日本) 266(6)
20
 加藤美優(日本) 207(8) ティモ・ボル (ドイツ)263(4

(注)累積ポイントの後ろのカッコ内の数字は出場大会数です。赤字は最低必要出場大会数の5大会に満たない場合を示します。名前が赤字の選手は出場が実質できない選手です。

まず、上位何選手が選ばれるかということですが、今年のグランドファイナルが韓国の仁川で開催されることが9月7日にアナウンスされました。

地元韓国の選手は上位15位以内にいるため地元選手の出場枠を使う必要がなくなり、上位16選手がグランドファイナルに出場できます。

次に、最低出場大会数の5大会に届いていない選手です。女子では、朱雨玲と陳夢が共に3大会なので2大会足りません。このため、この二人は残り2大会両方に出場しないとグランドファイナルに出場できません。昨年のグランドファイナルはこの二人の決勝だったので、この二人が出場しなければ影響は大きいです。しかし、昨年出場しなかった丁寧と劉詩雯が出場しそうなので他の国の選手が楽になるわけではないですね。

平野美宇は、昨年に続いてボーダーライン近くにいてヒヤヒヤさせられますが、100ポイントぐらいの余裕があるので大丈夫でしょう。


男子は、16位以内に大会数の足りない中国選手が5選手もいます。このうち16位の鄭培鋒は3大会の不足のため残りすべての大会に出場しても条件を満たせないので実際には17位の丹羽孝希が16位になります。樊振東、林高遠、梁靖崑は残りの両大会、馬龍と劉丁碩は残りの2大会のどちらかに出場しないとグランドファイナルに出場できません。男子のボーダーライン前後はポイントが接近しているので、丹羽孝希と吉村和弘はこれら中国選手の動向や、最後の2大会の結果で出場の可否が変わってきそうで目が離せませんね。

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