たまたま優しい巨人 BFG にさらわれた Sopie は、他の9人の巨人が毎晩人間を食べに行っていると聞いて、なんとか止めさせることはできないかと BFG と一緒に考えます。さて、Sopie と BFG はどうやって巨人達に人間を食べるのを止めさせるのでしょうか。
この小説は Dahl の作品の中でもすごくおもしろいと思います。でも、BFG の話す英語が文法的に不正確で、その上ことば遊びをするので理解しづらいところがあるので、教育熱心な親はあまり好まないかもしれません。Junie. B. も一部の親には不評らしいですから(もちろん英語圏で)。でも、この作品は Dahl 自身が遊んでいるところもあり人間を皮肉っているところもあるので、そういうところが読み取れるとすごく楽しめます。
(ここからはネタバレでも問題ない方が読んでください。)
たとえば、BFG は人間の家から拝借した1冊の本を何度も読んで英語を勉強したと言ってます。その本を “Dahl’s Chickens の Nicholas Nickleby” と言ってます。もちろんこれは Charles Dickens の間違いなのですが自分の名前を入れる辺りについニヤついてしまいます。それにしても Dahl はよほど Dickens が好きなようで 「Matilda」でもMatilda に「C. S. Lewis や Tolkien はまじめすぎて面白くない。Dickens は面白くていい」と言わしめています。また、巨人が人間を食べると聞いて Sopie が「酷い、なぜ人間は気付かないの」と言うと BFG が “Human beans is killing each other much quicker than the giants is doing it” と言い「巨人は巨人同士で殺し合いはしない」とか「豚は何も悪いことをしてないのに何故殺されるんだと言ってるよ」と反論します。こういった皮肉に3ページも割いてるので子供にもそういったことをわかってほしいと Dahl は考えたのでしょう。また、この本は7歳で病気で亡くなった娘(そして40年以上前にやはり7歳で亡くなった妹)へ捧げる本ともなっているので命の大切さを訴えたい思いもあったのかもしれません。
(YL5, 36928 words)
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