【卓球】 2018年4月世界ランキング、平野美宇は6位

国際卓球連盟(ITTF)のホームページで2018年4月の世界ランキングが発表されました。


3月はシニアのポイントになる大会が多く、以下の大会の結果が影響しています。


  • カタールオープン(ワールドツアープラチナ)
  • ポーランドオープン(チャレンジシリーズ)
  • ドイツオープン(ワールドツアープラチナ)
  • スペインオープン(チャレンジシリーズ)

スペインオープンは4月1日が最終日なので4月の世界ランキングのランキングポイントに加算されないと思っていましたが、4月の世界ランキングのランキングポイントに加算されています。 初日が何月かで判断しているのでしょうか。 ということは、4/29~5/6の世界選手権のポイントも5月のランキングポイントになるということでしょうか。

ではまずランキングを見てみましょう。
 *カッコ内は前月順位  女子  ポイント  男子 ポイント 
 1  陳夢(中国)(2)  16395(+225) 樊振東(中国)(2) 16545(+900) 
 2  朱雨玲(中国)(1) 16185(+15)   ボル(ドイツ)(1) 15705( ±0)
 3  石川佳純(日本)(3)  14775(+945)  オフチャロフ(ドイツ)(3)  15465(±0)
 4  フォン・ティアンウェイ(シンガポール)(4)  14510(+1190)  許昕(中国)(5)  14935(+1215)
5  王曼昱(中国)(7)  13974(+2025)  林高遠(中国)(4)  14514(+540)
 6  平野美宇(日本)(6)  13808(+1012)  馬龍(中国)(9)  14240(+2250)
 7 伊藤美誠(日本)(5)  13005(±0) 黃鎮廷(香港)(6)  13985(+1095)
 8 鄭怡静(台湾)(8)  12870(+990) 李尚洙(韓国)(11)  12945(+1350)
 9  陳幸同(中国)(9)  12687(+1275)  丹羽孝希(日本)(7)  12930(+90)
 10 劉詩雯(中国)(20)  12029(+2364)  S. ゴジ(フランス)(8)
 12893(+495)
 11  丁寧(中国)(14)  11994(+1464)  水谷隼(日本)(14)  12470(+1500)
 12  徐孝元(韓国)(15)  11734(+1395)  H. カルデラノ(ブラジル)(15)
 12055(+1125)

(注)ポイントのカッコ内は前月からの増減です。

 3月に開催されたシニアのポイント対象の大会は上記の4大会です。ワールドツアープラチナが2大会もあったのでランキング上位選手でポイントを積み増した選手が多かったです。その結果、男女とも上位のランキングに若干の変化がありました。また、昨年3月はワールドツアーがなくチャレンジシリーズだけだったようでこれらの大会の失効の影響を受けた選手はランキング上位ではいませんでした。


 石川佳純はワールドツアープラチナのドイツオープンで優勝しポイントを増やしましたがトップ2人のポイントが飛びぬけているためまだまだ2位とは差があります。また、カタールオープンで優勝した劉詩雯(リュウ・シウェン)がトップ10に顔を出しました。丁寧は惜しくも11位でした。

 男子は、前のランキングポイントシステムの時から6か月以上2位の座に甘んじてきた樊振東(ファン・ジェンドン)がカタールオープンで優勝し1位になりました。馬龍もひさびさに出場した国際大会のドイツオープンで優勝し、じわじわと順位を上げてきています。


 また、主な日本選手の順位は、女子は佐藤瞳が13位、早田ひな18位、加藤美優19位、森さくら22位、橋本帆乃香23位、芝田沙季24位となっています。男子は、張本智和が13位、松平健太14位、吉村真晴22位、上田仁25位、大島裕哉29位となっています。

また、中国の孫穎莎が15位に上がって来ています。

 では、何人かの選手のポイントの変動についていつものように見ていきます。

ドイツオープンで優勝した石川佳純より平野美宇のポイントが増えているのはなぜか

 石川佳純は、ドイツオープンでワールドツアープラチナでの初優勝を果たしました。また、カタールオープンでも準決勝まで進みました。一方、平野美宇はカタールオープンでは準々決勝敗退、ドイツオープンでは2回戦敗退でした。しかし、ランキングポイントは石川佳純が945ポイントを積み増したのに対して、平野美宇は1012ポイントを積み増しています。これは、なぜでしょう。2018年からの新ランキングポイントシステムの説明を理解されている方はすでに了解されていると思いますが、ちょっと触れておきます。


 以下に、石川佳純と平野美宇の3月のランキングポイントの構成を示します。ポイントは高い順に並べています。

 石川佳純:
大会
結果   ポイント  平野美宇:
大会
 結果  ポイント
 世界選手権  準々決勝敗退  2100  世界選手権  準決勝敗退  2400
 ベルギーOP  優勝  1800  ワールドカップ  4位  1913
 ドイツオープン(2017)  準決勝敗退  1800  アジア選手権  優勝  1800
 グランドF  準々決勝敗退  1785  ジャパンOP  準々決勝敗退 1575 
 チェコOP  準優勝  1620  中国オープン  準々決勝敗退  1575
 韓国オープン  準優勝  1620  グランドF  1回戦敗退  1530
 中国オープン  準々決勝敗退  1575  韓国オープン  準々決勝敗退  1440
 ワールドカップ  1回戦敗退  1530  ドイツオープン(2017)  1回戦敗退  563

3月に二人が出場した大会での獲得ポイントはそれぞれ以下のようになります。

大会  カタールオープン
結果 
 カタールオープン
獲得ポイント
 ドイツオープン
結果
ドイツオープン
獲得ポイント 
石川佳純  準決勝敗退  1800  優勝  2250
平野美宇  準々決勝敗退  1575  2回戦敗退  1350

石川佳純は3月のランキングポイントの構成ポイントで1番低い1530ポイントと2番目に低い1575ポイントを、今回の獲得ポイントが超えているため、ランキングポイントの構成ポイントが3月の獲得ポイントと入れ替わり、その差945ポイントが増えました。これに対して平野美宇の場合は、カタールオープンの1575ポイントは一番低い563ポイントを超えましたが、ドイツオープンの1350ポイントは次に低い1440ポイントを超えないため、入れ替わるのは1575ポイントだけです。しかし、もとの563ポイント(シード選手の1回戦敗退で通常の1回戦敗退の半分のポイント)がかなり低いため、結果として石川佳純より増加するポイントが多かったわけです。


石川佳純:(1800+2250) - (1575+1530) = 945

平野美宇:1575 - 563 = 1012

劉詩雯や孫穎莎など一気に順位を上げた中国選手

また、今回20位から10位になった劉詩雯や34位から15位に上がった孫穎莎など中国選手が一気に順位を上げて来ています。これは、石川佳純や平野美宇と異なり獲得ポイントがそのまま加算されているからです。

ここで、劉詩雯、丁寧、孫穎莎の3月のランキングポイントの構成を示します。

劉詩雯 丁寧  孫穎莎
 構成ポイント1  2400  3000  2250
構成ポイント2   2295  2250  2025
 構成ポイント3  1800  1620  1800
 構成ポイント4  1620  1500  1710
構成ポイント5   1250  1260
 構成ポイント6  300  900
 構成ポイント7
 構成ポイント8
 3月ランキングP  9665  10530  7785

2018年からの新ランキングポイントシステムでの説明のとおり、ランキングポイントに算入できるポイントは獲得ポイントの上位8大会なので、この3選手は算入する大会がまだ8大会に達しておらず、そのため算入している大会の獲得ポイントとの入れ替えではなくそのまま加算できるわけです。孫穎莎に至ってはまだ4大会の獲得ポイントをそのまま加算できるわけです。

劉詩雯は、カタールオープンでの予選から勝ち上がり優勝し獲得ポイントの2364ポイント(優勝(2250)+予選グループ2勝(57x2))をそのまま加算、丁寧は同じカタールオープンで陳夢に敗れ2回戦敗退でしたが1464ポイント(2回戦敗退(1350)+予選グループ2勝)をそのまま加算、孫穎莎はカタールオープンとドイツオープンでどちらも予選から勝ち上がり準々決勝敗退だったのでそれぞれ1689ポイント(準々決勝敗退(1575)+予選グループ2勝)をそのまま加算となりました。順位の変動が少なく目立ちませんが馬龍と王曼昱も同じ状況です。馬龍はドイツオープンの優勝ポイント(2250)、王曼昱もカタールオープンの準優勝ポイント(2025)がそのまま加算されています。

2016年2月の世界選手権(団体戦)のポイントについて

 最後に、2016年2月に行われた世界選手権団体戦のポイントがなぜ失効しないのかという質問をツイッターの方で頂きましたので解説しておきます。


 2018年新ランキングポイントシステム説明では、世界選手権のポイントの有効期限は2年間と簡単に説明していますが、正確にはITTFの規定には "next edition" まで、つまり団体戦は次の団体戦まで、個人戦は次の個人戦まで有効となっています。ということで、2016年の世界選手権団体戦のポイントは次の世界選手権団体戦のポイントが入るまで有効とゆうこうとです:)。つまり、今月末の世界選手権になりますが、冒頭に書いたように大会が4月と5月にまたがっているため、5月の世界ランキングか6月の世界ランキングのどちらに入ってくるか不明です。どちらにしろ、入れ替わりに前回のポイントは失効するということです。

また、この次回の同じ大会までポイントが有効という規定の対象は世界選手権だけでしたが、Continental Championships、つまり大陸での選手権も最近の改訂で対象となりました。このため、5月に失効すると思っていた平野美宇のアジア選手権優勝のポイントは次のアジア選手権(たぶん来年)まで有効になりました。しかし、アジア選手権の優勝のポイントは通常のワールドツアーの優勝ポイントと同じなので、失効するまでもっと大きなポイントを獲得しておいてほしいですね。

[追記(2018/5/10)]ITTFの世界ランキングポイントの規定をよく読むと Continental Championships のポイントが次の大会まで有効だという記述があるのはダブルスだけでした。どうしてダブルスだけなのか疑問ですが、シングルスで次の大会までポイントが有効とあるのは世界選手権だけなので、平野美宇の2017年4月のアジア選手権のポイントは2018年4月で消えてしまうことになります。


今回は、ポイント変動の説明が長かったですが最後まで読んでいただいた方はありがとうございました。よろしかったら、ツイートしといてください。