【卓球】 2018年7月世界ランキング、張本智和が日本人1位に

国際卓球連盟(ITTF)のホームページで2018年7月の世界ランキングが発表されました。


今回の世界ランキングで先日のジャパンオープンで優勝した張本智和が8位に上がり男子日本選手で最高位になりました。平野美宇は1つ順位を落として8位になりました。


6月のランキングポイントは原則2017年7月から2018年6月に行われた大会が対象になります。6月に行われた大会では以下の大会がシニアのポイントの対象となります。


  • ジャパンオープン(ワールドツアー)
  • 北中南米カップ(大陸カップ戦)
  • 北朝鮮オープン(チャレンジシリーズ)
  • 南アメリカ競技大会(マルチスポーツゲームズ)
  • 地中海競技大会(マルチスポーツゲームズ)
この中でポイントが大きいのはジャパンオープンと北中南米(パンアメリカン)カップです。大陸カップ戦はワールドツアーと同じ格付けとなりシングルスの優勝ポイントは1800ポイントです。北朝鮮オープンはチャレンジシリーズなので優勝ポイントはワールドツアーの半分の900ポイント、マルチスポーツゲームズは600ポイントです。また、北中南米カップの優勝者と準優勝者はワールドカップへの出場権を獲得できます。

ではまず今月のランキングを見てみましょう。
 *カッコ内は前月順位  女子  ポイント  男子 ポイント 
 1 朱雨玲(中国)(2)  16074(-225) 樊振東(中国)(1) 17001(-225) 
 2 王曼昱(中国)(3) 15669(-180)  ボル(ドイツ)(4) 15205(-450)
 3 陳夢(中国)(1)  15519(-990)  林高遠(中国)(5)  14964(±0)
 4 石川佳純(日本)(4)  14905(±0) オフチャロフ(ドイツ)(3)  14465(-1350)
5  伊藤美誠(日本)(6)  14180(+185)  許昕(中国)(6)  13735(-1200)
 6 劉詩雯(中国)(5)  13779(-360) 馬龍(中国)(2)  13500(-2340)
 7 陳幸同(中国)(10)  13047(+90) 李尚洙(韓国)(8)  13149(-135)
 8 平野美宇(日本)(7)  12878(-540) 張本智和(日本)(10)  13034(±0)
 9 鄭怡静(台湾)(8)  12856(-315) 黃鎮廷(香港)(7)  12969(-516)
 10 杜凱栞(香港)(13)  11940(±0)  カルデラノ(ブラジル)(11)
 12680(±0)
 11 顧玉婷(中国)(17)  11832(+900)  12位:丹羽孝希 (9)
 12466(-599)
 12 馮天薇(シンガポール)(9)  11815(-1245)  13位:水谷隼 (13)
 11745(-540)

(注)ポイントのカッコ内は前月からの増減です。

 今回の世界ランキングでは昨年6月にあった大会のポイントが無効になり、ランキングポイントに算入されなくなります。昨年6月はワールドツアープラチナのジャパンオープンと中国オープンがあり、この2大会で成績が良くて大きくポイントを稼いでいた選手は今回大幅にランキングポイントが減ります。 これに対して今回新たに算入されるのは、多くの選手はワールドツアーのジャパンオープンのみです。 このため、多くの(特にアジア)の選手はランキングポイントを減らしています。トップ10もアジアの選手が多いため順位の変動だけでなく顔ぶれも変わっています。

 女子は、朱雨玲はランキングポイントを減らしましたが他の上位選手も減らしたため トップに返り咲きました。ランキングポイントの変動がほとんどなかった陳幸同と杜凱栞も順位を上げました。また、ランキングポイントを大きく伸ばした顧玉婷は 11位まで上がってきました。一方、ランキングポイントを大きく減らした陳夢や平野美宇、馮天薇は順位を下げました。


 男子も、同じような状況で全体にランキングポイントが下がったため変動のなかった張本智和と林高遠の順位が相対的に上がりました。張本智和は昨年は、ジャパンオープンは予選敗退でしたが、中国オープンは準決勝まで行きポイントを稼ぎました。今回のランキングポイントでは、先月のジャパンオープン優勝のポイントが昨年の中国オープンのポイントと入れ替わった形です。林高遠も、昨年はジャパンオープンは2回戦敗退、中国オープンは予選敗退であまりポイントを稼いでいなかったので影響がありませんでした。

 林高遠を除く中国のトップ選手は昨年の中国オープンの2回戦で試合をボイコットしたため影響が少ないと思いましたが、馬龍は昨年のジャパンオープンは優勝で、無効になったポイントの代わりに算入するポイントがなく大幅に減ってしまいました。

 ブラジルのカルデラノは張本智和と同様にポイントが変わっていません。実は、先月の北中南米(パンアメリカン)カップに優勝して1800ポイントを獲得しているのですが、昨年の北中南米(パンアメリカン) 選手権 にも優勝していてこちらでも1800ポイントを獲得していてこのポイントがまだ有効です。大陸カップ戦と大陸選手権のポイントはどちらかしかランキングポイントに加算できない(詳細はランキングポイントシステムの解説を参照)ため先月の獲得ポイントは加算できませんでした。また、昨年はジャパンオープンは1回戦敗退、中国オープンは不出場だったのでどちらの大会もランキングポイントには影響なく、結局ランキングポイントには変化なく、順位が1つ上がってトップ10に顔を出しました。


 そのほかの主な日本選手の順位は、女子は佐藤瞳が14位(12位)、早田ひなが15位(16位)、加藤美優18位(20位)、芝田沙季20位(22位)、橋本帆乃香24位(27位)、浜本由惟27位(34位)となっています。また、長崎美柚が52位から38位に大きく順位を上げ50位以内に入って来ました。

男子は、水谷隼が13位(13位)、松平健太が15位(14位)、上田仁が26位(23位)、吉村真晴も同じ26位(30位)となっています。また、𠮷田雅己が27位から48位に、大島祐哉も36位から50位に大幅に上げています。

今年後半のポイントの大きい試合

 今月は、ちょうど先月で半年が消化し、ワールドツアープラチナとワールドツアーも半分の各3大会が終わり年内はそれぞれあと3大会となりました。

 日本の場合、東京オリンピックの出場枠は2020年1月の世界ランキング、つまり来年1月から12月の獲得ポイントの合計でほぼ決まります。そのため、


  1. 来年はポイントの大きな大会にたくさん出場した選手が有利
  2. 来年の大きな大会に出場するには今年の年末である程度世界ランキングを上げておくことが必要
  3. そのためには、今年後半でポイントを稼ぐ必要がある
ということで、今回はいつものようなランキングポイントの変動の説明ではなく、今年後半でポイントの稼げる大会について説明したいと思います。

 今後、今年の後半に行われるポイントの高いシニアの大会は次の通りです。

 大会名 大会の種別   本戦期間 開催地   優勝P
 1回戦敗退P
韓国オープン   WTプラチナ  7/19~7/22  大田広域市  2250  1125
 オーストラリアオープン  WTプラチナ  7/26~7/29  ノースジーロング  2250  1125
 ブルガリアオープン  ワールドツアー  8/16~8/19 パナギュリシテ  1800  900
 チェコオープン  ワールドツアー  8/23~8/26  オロモウツ  1800  900
 アフリカ選手権  大陸選手権  9/3~9/9 モーリシャス  ポートルイス  1800  900*
 ヨーロッパ選手権  大陸選手権  9/18~9/23  スペイン アリカンテ
 1800  900*
 女子ワールドカップ  ワールドカップ  9/28~9/30  中国成都市  2550  1530**
 男子ワールドカップ  ワールドカップ  10/19~10/21  フランスパリ  2550  1530**
 スウェーデンオープン  ワールドツアー  11/1~11/4  スウェーデン ストックホルム
 1800  900
 オーストリアオープン  WTプラチナ  11/8~11/11  オーストリア リンツ
 2250  1125
北中南米選手権   大陸選手権  12/20~12/23  (未確定)  1800  900*
 グランドファイナル  Gファイナル  12/13~12/16  (不明)  2550  1530**

(メモ)優勝P = 優勝時の獲得ポイント、1回戦敗退P = 1回戦敗退時の獲得ポイント、WTプラチナ = ワールドツアープラチナ、Gファイナル=グランドファイナル。ワールドツアープラチナおよびワールドツアーの1回戦はベスト32(R32)からと想定しています。また、ワールドツアープラチナとワールドツアーでは、シード選手が1回戦敗退の場合、獲得ポイントは半分になります。

*ワールドツアー(プラチナ)の本戦1回戦と同じベスト32での敗退時のポイントを参考に掲載しています。

**ワールドカップとグランドファイナルは本戦はベスト16からです。

ここに挙げていない大会ではチャレンジシリーズがあと3回ありますが、チャレンジシリーズの優勝ポイントは900ポイントでワールドツアーの1回戦敗退のポイントと変わらないのでここでは取り上げていません。各地域の競技大会(マルチスポーツゲームズ)はさらに低いのでこれも取り上げていません。


 この表を見ればわかるように、ポイントが高いのはワールドカップとグランドファイナルです。1回戦敗退でも1530ポイントで、2回戦(準々決勝)で敗退だと1785ポイントとなりワールドツアー優勝のポイントと変わりません。また、ワールドカップは予選がありますが、日本選手の場合はほぼ間違いなく本戦まで進めます。その上、1か国2名の枠なので上位に進出してポイントを大きく稼ぐことも可能です。グランドファイナルは予選がないので出場できる16名に選ばれれば1530ポイント以上が確定します。

9月の女子ワールドカップは、石川佳純はアジアカップで3位になったので出場が確定しています。ワールドカップの未確定枠7名は各大陸カップ戦の順位と世界ランキングから選ぶことになっているので、アジアカップで5位になった平野美宇が選ばれると思います。


 また、大陸選手権や大陸カップ戦は優勝ポイントがワールドツアーと同じなので、これもポイント面で見ればワールドツアー同様に大切な大会です。アジアの大会は今年はもうありませんが、来年のアジア選手権とアジアカップのポイントは2020年1月のランキングポイントに直接影響するので日本選手にとっては大事になると思います。特に、アジアカップは1か国2名までで、かつ出場できなければワールドカップの出場もないので、この枠に入れるかどうかは選手にとって重大ですね。