【卓球】 2019世界ランキング新システムの変更点

 卓球の世界ランキングを決めるランキングポイントシステムは、2018年1月にそれまでの選手登録して以降の獲得ポイントを累積するシステムから、過去1年の結果のみで評価するシステムに大きく変更されました(2017年までのランキングポイントシステムについてはこちらを、2018年のランキングポイントシステムについてはこちらをご覧ください)。


2017年までのシステムでは長く選手をやっている選手がある程度のポイントを維持できたため年に数回大会に出場すれば上位に居続けることができました。しかし、2018年以降のシステムでは過去1年間に半分以上の大会に出場し、なおかつある程度の結果を出していないと上位を維持することは難しくなりました。そのため、2017年12月のランキングで上位にいた選手が大きく順位を下げる現象が起き混乱がありました。

この変更のあとは少なくとも東京オリンピックまでは大きな改訂はないと思っていたのですが、また2019年1月に発表される世界ランキングからランキングポイントシステムの大幅な変更があることが発表されました。


ここでは、変更点をまとめ、解説を加えたいと思います。

1. 2019ランキングポイントシステムの大きな変更点

大きな変更点をまとめます。


  • シード選手が1回戦敗退した場合のポイント半減を廃止
  • ポイント表の見直し
    • 優勝/準優勝/準決勝敗退のポイント差の拡大
    • 準々決勝より下のラウンドでの敗退のポイント引き下げ
  • ワールドカップ/グランドファイナル/大陸選手権のポイントは次の大会まで有効
  • 世界ランキングを毎週発表(自動化が出来次第)

以下に各変更点についてもう少し詳しく説明します。

1.1 シード選手が1回戦敗退した場合のポイント半減の廃止

 2018年のランキングポイントシステムではシード選手が本戦の1回戦で負けた場合、つまり1勝もできずにその大会を終えた場合、1回戦敗退の場合に獲得できるポイントが半減されるルールがありました。

たとえば、ワールドツアーでは1回戦敗退のポイントは900ポイントで、予選から勝ち上がった選手がシード選手に負けた場合は900ポイントを獲得できましたが、シード選手が負けた場合はその半分の450ポイントでした。


このような処理は煩雑なため、 2019年のランキングポイントシステムでは 廃止されました。その代わりに1回戦や2回戦のポイントが引き下げられました。例えば、ワールドツアーの場合は、1回戦敗退の獲得ポイントが900ポイントから540ポイントに変更になっています。

1.2 ポイント表の見直し

通常のワールドツアーのポイント表を基に2018年と2019年でどのくらい変わったか見てみましょう。

 比率 2018  結果  2019  比率 
 100%  1800  優勝  1800  100%
 90%  1620  準優勝  1440  80%
 80%  1440  準決勝敗退  1170  65%
 70%  1260  準々決勝敗退  900  50%
 60%  1080  2回戦(R16)敗退  720  40%
 50%  900  1回戦(R32)敗退  540  30%
 30%  540  予選敗退(R32)  360  20%
 20%  360  予選敗退(R64)  270  15%
 10%  180  予選敗退(R128)  180  10%
 5%  90  予選敗退(R256)  135  7.5%
 2.5%  45  グループでの1勝  --
 0.8%  15  未勝利  --
 --  予選敗退(R512)/未勝利  90  5%

(メモ)「比率」は優勝を100%としたときの割合です。

チャレンジシリーズ以外の他の大会でもそうですが優勝ポイントに変更はありません。しかし、2018年は1回戦敗退まで10%ずつ(180ポイントずつ)減少していたのが、優勝と準優勝の間は20%(360)、準優勝と準決勝敗退の間および準決勝敗退と準々決勝敗退の間で15%(270)減るため、新システムの準々決勝敗退が現システムの1回戦敗退と同じになっています。新システムの1回戦敗退のポイントは優勝の30%で、現システムの予選の最終ラウンド(R32)に当たります。

このため、石川佳純、伊藤美誠以外の準決勝以上への進出が少ない日本選手のスコアは軒並み下がることが予想されます。


また、現システムでは予選グループリーグでの1勝につき45ポイントが加算され、本戦に進出した場合は本戦でのポイントに加算されていましたが、加算されなくなり、本戦のみのポイントになるなります。ポイント表から見ると2019年はワールドツアーやワールドツアープラチナでは予選もトーナメント方式で行いグループリーグは行わない感じですね。


次にワールドツアー以外の大会の本戦のポイントを参考に上げておきます(上部のタブをクリックすると表が切り替わります)。

  • ワールドツアープラチナ
  • 世界選手権
  • ワールドカップ
  • グランドファイナル
  • アジア選手権/カップ
  • チャレンジシリーズ
ワールドツアープラチナ
 比率 2018  結果  2019  比率 
 100%  2250  優勝  2250  100%
 90%  2025  準優勝  1800  80%
 80%  1800  準決勝敗退  1465  65%
 70%  1575  準々決勝敗退  1125  50%
 60%  1350  2回戦(R16)敗退  900  40%
 50%  1125  1回戦(R32)敗退  675  30%
世界選手権
ワールドカップ
グランドファイナル
アジア選手権/カップ
チャレンジシリーズ

1.3 ワールドカップ/グランドファイナル/大陸選手権の有効期限

 女子ワールドカップ/男子ワールドカップ/チームワールドカップ、グランドファイナル、そしてアジア選手権などの大陸選手権/大陸カップ戦で獲得したポイントは、ランキングポイントに加算可能な有効期限が今までは1年間でした(詳細はこちら)。

このため、今年の10月の世界ランキングで前年分と今年分の2回分のワールドカップの獲得ポイントがランキングポイントに算入されるという現象が女子の世界ランキングで起きていました。これは、昨年の女子ワールドカップ開催が10月で今年の女子ワールドカップの開催が9月だったために起きた現象です。

この結果、昨年と今年の両方のワールドカップに出場していた選手のランキングポイントが10月に一時的に跳ね上がり、11月の世界ランキングで元に戻るという、好ましくない状況が起きていました。この現象は、他の大会でも起こる可能性がありますが、ワールドカップなどのポイントが高く、出場者が制限されている大会では好ましくありません。

そこで、獲得したポイントの有効期間を「12か月」から「次の大会まで」に変更することにしたわけです。この方式は世界選手権の獲得ポイントではすでに採用されています。


この変更の影響で、12か月の期限で無効になっていた平野美宇の2017年4月のアジア選手権優勝のポイントが復帰すると思われます。

1.4 世界ランキングを毎週発表

 現在の世界ランキングは毎月の発表で月初めの数日中に発表されています。これを、毎週発表するということのようです。

自動化システムが出来次第となっていますので、1月からすぐに始まるわけではないようです。また、通常日曜に決勝が行われるので週末の結果を反映して日曜の夜か月曜日に発表されるのではないでしょうか。

2. その他の変更点

上記以外の小さな変更点には次のものがあります。


  • アジア競技大会やコモンウェルスゲームズなどの地域の競技会(マルチスポーツゲームス)でのシングルスのポイントは1大会分のみ算入できる。
  • 世界選手権、ワールドツアー、チャレンジシリーズではポイントは予選でもラウンドを基に与えられる。グループリーグでのポイントは本戦進出の場合は計算されない。
  • ユースオリンピックやジュニア世界選手権などで各カテゴリの大会に最低4大会出場するという条件を満たせない場合も、条件を満たせばシード権を得られる(U21: シニアの世界ランキングで40位以内、ジュニア: U21で30位以内かシニアで100位以内、カデット: U21かジュニアで30位以内かシニアで100位以内。
  • 混合ダブルスのシードは混合ダブルスの結果のみで判定する(今まではデータ不足のため女子および男子のダブルスの結果から測定していた)