世界選手権/ワールドカップ/チームワールドカップ » 平野美宇の2017世界卓球選手権 » 2017世界卓球 平野美宇が女子シングルスで銅メダル
2017世界卓球選手権5日目の女子シングルス準々決勝で平野美宇は世界ランキング4位のシンガポールのフェン・ティアンウェイにゲームカウント4-0(11-5、11-2、18-16、11-5)で勝利し、メダルを確定させ6日目に行われる準々決勝へと駒を進めました。平野美宇の準決勝での相手は、世界ランキング1位の丁寧(中国)と石川佳純の勝者でしたが、丁寧が石川佳純にゲームカウント4-1(11-8、11-2、7-11、11-8、11-2)で勝ったため丁寧となりました。
準決勝では、丁寧は平野美宇以上に試合に集中している様子で第1ゲームの初めから先行しました。作戦としては平野美宇に対して攻撃を仕掛けず平野美宇に攻撃させる受け身で平野美宇のミスを待つ作戦のようだった。また、ラリーでも丁寧はいつもより前でバックハンドで平野美宇に合わせる作戦のようでした。結局この作戦がはまり、平野美宇にミスが目立ちました。ラリーでも丁寧なら合わせるだけなら平野美宇のスピードに合わせられますし、丁寧がミスをする確率は低いので50%ぐらいのラリーが得点になればいいと考えていたのではないでしょうか。結局、第1ゲームは初めから引き離され4-11、第2ゲームは最初引き離されたあとかなり追い上げましたが8-11。しかし3ゲームは4-4となり、アジア選手権でも1ゲーム目をあっさりとられましたが2ゲーム目は競った末に取られ、3ゲーム目以降の猛攻につながったので、今回も同じようになるかと期待しましたが、今回は平野美宇を研究しているだけになかなか平野美宇を調子に乗せてはくれません。結局、その後丁寧が6連続ポイントし4-10とされ丁寧のゲームポイントを1回しのいだものの5-10で取られてしまいました。第4ゲームはポイントで平野美宇が先行し、2-2から9-2まで7連続ポイントしときには アジア選手権の再現 かと中国応援団をはじめ会場がざわつき始めました。平野美宇は結局このゲームを11-5で取り、平野美宇の逆転劇を期待しました。しかし、今回は十分な平野美宇対策もしているからか平野美宇を強豪として認識しているからか丁寧は慌てる様子はなく、5ゲームも最初から3ポイント先取し先行しました。平野美宇も2-3、3-4と1点差で食い下がりましたが、中盤で引き離され5-11で5ゲーム目も取られて、準決勝での敗退が決定しました。
丁寧が今回は練習中もコーチや仲間がいろいろ助言をくれたりした と言っていたように周囲の関心もひときわ 高く、今回は絶対負けられないという緊張は丁寧のほうが強かったと思いますが、丁寧の試合への集中の度合いが平野美宇を上回っていたと思います。これは、5ゲーム目の5-9から丁寧がポイントを取ったあと試合が決まったと勘違いして大きくこぶしを上げてガッツポーズをし審判に握手の手を伸ばしてから気づいたことからも、以下に試合に入り込んでいたかがわかります(丁寧自身もそう言っています)。 戦術としては、4回戦の相手や準々決勝でのフェン・ティアンウェイが攻めても勝てないと判断して受けて相手のミスを待つ(以前の平野美宇のスタイルと同じように)戦略に途中で変更したように、丁寧も基本的には同じ戦略で平野美宇に臨んだようですが、当然世界チャンピオンはミスも少なくより厳しい返球が返ってくるので、どうしてもミスが出やすくなります。かといって甘い球を返すと当然打ち込まれてしまいます。さらに、平野美宇のチキータでの返球も警戒されていたようで、丁寧の回転の多いサーブを平野美宇がチキータの返球でネットミスをする場面も多くありました。また、サーブのレシーブは打ち返すとカウンタされたり打ち合いになるので、短く切って返されていたようでした。これは、 平野美宇の身長が低いことも考慮しての対策だと思いますが、丁寧の返球はニッタクの球に慣れて回転も上がっているので3球目をネットにかける場面が多くなってしまいました。 しゃがみ込みサーブに対してはいい返球もありましたが、アジア選手権のときより決まっていたのでこちらもさらに進化していたのかもしれません。平野美宇も試合後のインタビューで「新しいサーブがあった」と言っていました。
結果として、平野美宇のミスが目立つ試合になってしまいましたが、中国が国家を上げて研究してきた結果であり、それを実行したのが世界チャンピオンの丁寧であり、しかも丁寧の体も心も充実していたことを考えると今回はしかたないとも思います。スタートダッシュでペースをつかめれば全日本選手権での石川佳純との試合のように押し切れたかもしれないとも思いますが、アジア選手権のように先行されても逆転で勝つことも出来ているので、また中国に勝てるように技や戦略を磨いていくしかありません。
今回は、銅メダルをとれたことと中国が今までやったことがないような対策を平野美宇に対して行ったことを誇りに帰国してほしいと思います。そして、今度はこちらが対策を立てて次の対戦(今月のジャパンオープンか中国オープンになるかもしれませんが)に備えてほしいです。今後は、そのように中国選手と勝ったり負けたりしてお互いに研究しあいながら、東京オリンピックを目指してほしいですね。