【卓球】 2019年2月世界ランキング 石川佳純と張本智和が4位に後退

 国際卓球連盟(ITTF)のホームページで2019年2月の世界ランキングが発表されました。ランキング順とランキングポイントをまとめます。


2019年2月のランキングポイントは原則2018年2月から2019年1月に行われた大会が対象になります。2019年1月に行われた大会でシニアのポイントの対象になる大会はワールドツアーのハンガリーオープンだけです。ハンガリーオープンは全日本卓球選手権大会と日程が重なっていたため日本選手は出場していません。


また、2月の世界ランキングでポイントが無効になった大会も2018年1月開催のハンガリーオープンだけです。

このため、 2108年と2019年のハンガリーオープンに出場していない選手はポイント変動がありませんでした。

ではまず今月のランキングを見てみましょう。
 *カッコ内は前月順位  女子  ポイント  男子 ポイント 
 1 丁寧(中国)(1)  16515(±0) 樊振東(中国)(1) 17001(±0) 
 2 朱雨玲(中国)(2) 16059(+90)  許昕(中国)(2) 15835(±0)
 3 陳夢(中国)(4) 15699(+505) 林高遠(中国)(4) 15031(+435)
 4 石川佳純(日本)(3) 15248(±0) 張本智和(日本)(3)  14625(±0)
5  劉詩雯(中国)(5) 15114(±0) ティモ・ボル(ドイツ)(5) 14065(±0)
 6 王曼昱(中国)(6)  14480(-400) ウーゴ・カルデラノ(ブラジル)(6)  13790(-165)
 7 伊藤美誠(日本)(7)  13880(±0) 李尚洙(韓国)(7) 13359(±0)
 8 鄭怡静(台湾)(8)  13801(±0) 黃鎮廷(香港)(8)  12669(±0)
 9 平野美宇(日本)(9)  13065(±0) 丹羽孝希(日本)(9)  12466(±0)
 10 馮天薇(シンガポール)(10)  12580(±0)  水谷隼(日本)(10)
 12165(±0)
 11 徐孝元(韓国)(11)  12375(±0) 張禹珍(韓国) (11)
 11939(±0)
 12 佐藤瞳(日本)(12)  11628(±0)  馬龍(中国)(12)
 11930(±0)

(注)ポイントのカッコ内は前月からの増減です。

 トップ10で順位に変動があったのは男女ともに3位と4位が入れ替わったことだけです。これは、ハンガリーオープンで陳夢と林高遠が優勝しランキングポイントを伸ばしたためです(1月に3位だった石川佳純と張本智和のランキングポイントは変わっていません)。陳夢は昨年のハンガリーオープンには出場しておらず1月時点でランキングポイントに算入されている8大会で最低のポイントはアジア競技大会の1295ポイントだったためハンガリーオープンの優勝ポイント1800ポイントと入れ替わり505ポイントが増えました。


15194(1月のランキングポイント) - 1295 + 1800 = 15699


林高遠も陳夢と同様、昨年のハンガリーオープンには出場していなかったため1月のランキングポイントの8大会で最低のアジア競技大会1365ポイントと入れ替わって435ポイントが増えています。


また、劉詩雯と王曼昱は今年のハンガリーオープンでは準決勝敗退ですが、2019年のランキングシステムではワールドツアーの準決勝敗退は1170ポイントで2018年のワールドツアーの準々決勝敗退(1260ポイント)、ワールドツアープラチナの2回戦敗退(1350ポイント)より低いのでランキングポイントの8大会には算入されませんでした。逆に、王曼昱の場合は昨年のハンガリーオープンで優勝しているため1800ポイントが無効になり、次にポイントの多いアジア競技大会の1400ポイントが算入されたため、400ポイントが減少しましたが順位には影響しませんでした。


 芝田沙季もポイントは変わっていませんが、15位から14位に上がっています。これは、1月に13位だった中国の陳幸同がポイントを減らし13位から15位に下がったためです。陳幸同はハンガリーオープンは昨年は準決勝敗退(1440ポイント)、今年は準々決勝敗退(900ポイント)でした。2018年のランキングシステムではワールドツアーの準々決勝敗退は1260ポイントだったのですが2019年のランキングシステムでは2018年の1回戦敗退と同じ900ポイントしかないのでこのポイントを算入できず、昨年11月の同じワールドツアーのスウェーデンオープンの2回戦敗退の1080ポイントを算入したたため360ポイント減少してランキングを下げてしまいました。


 そのほかの主な日本選手の順位は、女子は加藤美優22位(23位)、橋本帆乃香24位(26位)、 長﨑美柚35位(36位)、安藤みなみ36位(38位) 、早田ひな42位(43位) となっています。

男子は、吉村真晴26位(28位)、 上田仁29位(32位)、 大島祐哉32位(33位)、 森薗政崇45位(48位) となっています

今月のトピック :主要選手の現在の獲得ポイント

 今月は世界ランキングを早々にまとめた後、トピックを書かないうちに月末近くになってしまいました。

 さて何について書こうかと思ったのですが、来月から平野美宇も含め日本のトップ選手も国際大会に出場し始めるということもあり、主要選手の現在の有効ポイントについてまとめてみようと思います。


 まず、以下に2月の世界ランキング上位10選手の各大会での獲得ポイントと結果を獲得月別に分けて一覧表にしてみました。各枠の上段が獲得ポイント、下段が最終結果です。赤字のポイントは現在のランキングポイントに算入されている8大会のポイントです。

 丁寧 朱雨玲   陳夢  石川佳純 劉詩雯 王曼昱 伊藤美誠   鄭怡静 平野美宇  馮天薇
2017世界卓球   3000
優勝
2700
準優勝
2100
QF
 2100
QF
2400
SF
1800
R16
 1200
R64
 2400
SF
2100
QF
2018/02 
 TWC  900
3勝
 900
3勝
 1500
5勝
 300
1勝
 600
2勝
 300
1勝
 600
2勝
600
2勝 
 2018/03
カタールOP   1464
R16
 563
R32
1800
SF
1800
SF
 2364
優勝
 2025
準優勝
 563
R32
1350
R16
1575
QF
 1350
R16
ドイツOP  2250
優勝
 1350
R16
 1800
SF
1350
R16
 1800
SF
 2018/04
 アジアカップ  1914
優勝
 1734
準優勝
 1554
3位
 1426
4位
 1298
5位
 世界選手権 1500
6勝
 1250
5勝
 1000
4勝
 1750
7勝
1500
6勝
 750
3勝
2000
8勝
 2250
9勝
1500
6勝
1750
7勝
 2018/05
 香港OP  450
R32
 1260
QF
 1800
優勝
 1440
SF
 1080
R16
 1080
R16
 中国OP  2025
準優勝
 1350
R16
 1575
QF
 2250
優勝
 1800
SF
 563
R32
 563
R32
 1350
R16
タイOP
 900
優勝
2018/06 
 日本OP  1260
QF
1440
SF
1620
準優勝
1800
優勝
 1260
QF
 1260
QF
 450
R32
 2018/07
 韓国OP  1350
R16
 2250
優勝
2025
準優勝
1800
SF
1800
SF
1575
QF
 1575
QF
 1575
QF
 563
R32
 563
R32
 豪州OP  2025
準優勝
1800
SF
 2250
優勝
 1575
QF
 563
R32
1575
QF
1350
R16
 2018/08
 ブルガリアOP 1800
優勝
 1260
QF
 450
R32
 1260
QF
 チェコOP  1800
優勝
 1260
QF
 1260
QF
 2018/09
 アジア競技会  280  1295
準優勝
 1400
優勝
 943
QF
 910
R16
 ワールドCUP 2550
優勝
 2295
準優勝
1913
4位
2040
3位
1785
QF
 2018/11
スウェOP  1440
SF
 1620
準優勝
 1440
準優勝
 1260
QF
 1260
QF
 1260
QF
 1800
優勝
 450
R32
 450
R32
 1080
16
 オーストリア  1575
QF
1800
SF
2250
優勝
 563
R32
1575
QF
 2025
準優勝
 1350
R16
1575
QF
1350
R16
1350
R16
 2018/12
 グランドF  2040
SF
2040
SF
 2550
優勝
 1785
QF
 1785
QF
1785
QF
1530
R16
 1785
QF
1530
R16
 1530
R16
 2019/01
ハンガリーOP 
 1800
優勝
 1170
SF
 1170
SF
 540
R32

(メモ)TWC=チームワールドカップ、OP=オープン、スウェOP=スウェーデンオープン、SF=準決勝敗退、QF=準々決勝敗退、R16=ベスト16(ラウンド16)敗退、R32=ベスト32(ラウンド32)敗退

樊振東 許昕   林高遠  張本智和 ボル カルデラノ
李尚洙  黃鎮廷  丹羽孝希  水谷隼
2017世界卓球   2700
準優勝
2400
SF
1800
R16
 2100
QF
 2100
QF
1500
R32
2400
SF
2100
QF
2100
QF
1200
R64
2018/02 
 欧州TOP16  1800
優勝
 TWC  1200
4勝
 600
2勝
 900
3勝
 1350
R16
 900
3勝
 900
3勝
 1200
4勝
 300
1勝
 2018/03
カタールOP  2250
優勝
 1800
SF
 1800
SF
1575
QF

 2025
準優勝
 1350
R16
1575
QF
 563
R32
 1350
R16
ドイツOP  2025
準優勝
 563
R32
 1575
QF
 563
R32
 1350
R16
1800
SF
 1350
R16
 1350
R16
 ポーランドOP  450
R32
 2018/04
 アジアカップ  1876
優勝

 1696
準優勝
 1374
5位
1554
3位
 1284
7位
1291
6位
 世界選手権 2000
8勝
 1750
7勝
 500
2勝
 1250
5勝
 1750
7勝
2000
8勝
1500
6勝
 1500
6勝
 750
3勝
1500
6勝
 2018/05
 香港OP
 1260
QF
 1080
R16
 中国OP  2025
準優勝
 563
R32
 1800
SF
 1350
R16
 1350
R16
 563
R32
 1575
QF
 1350
R16
 1575
QF
1575
QF
2018/06 
 パンナムCUP  1800
優勝
 日本OP 1800
優勝
 1440
SF
 1440
SF
 450
R32
 450
R32
 2018/07
 韓国OP
 1350
R16
 1800
SF
 1350
R16
 1575
QF
1575
QF
 563
R32
 563
R32
 1800
SF
 豪州OP
 2250
優勝
1800
SF
 563
R32
 563
R32
 563
R32
 563
R32
 2018/08
 ブルガリアOP
1800
優勝
 1440
SF
1260
QF
 チェコOP  1440
SF
 450
R32
 2018/09
 欧州選手権 1800
優勝
 アジア競技会  1470
優勝
 1365
準優勝
 1120
SF
 1015
QF
 2018/10
 ワールドCUP 2550
優勝

 2040
3位
1785
QF
2295
準優勝
1275
17~位
 1785
QF
 1530
R16
1785
QF
 2018/11
スウェOP 1800
優勝
1620
準優勝
 1080
R16
 450
R32
 450
R32
 1080
R16
 1080
R16
 オーストリア  1800
SF
2025
準優勝
 563
R32
 1575
QF
 1575
QF
1575
QF
 563
R32
 563
R32
1575
QF
 1350
R16
 2018/12
 グランドF 1785
QF
1785
QF
2295
準優勝
 2550
優勝
1530
R16
 2040
SF
1530
R16
1530
R16
1530
R16
2040
SF
 2019/01
ハンガリーOP   1170
SF
 1170
SF
1800
優勝
 900
QF
 720
R16
 一覧表を作成して、特にトップ10後半の選手で気付いたのは以下の2点です。


  1. 1回戦での敗退(ワールドツアー/プラチナでのR32)が以外に多い
  2. 2回戦までの敗退での獲得ポイントでもランキングポイントに算入できている
  3. ワールドカップ本戦(ステージ2)やグランドファイナルでの1回戦敗退(R16)でもポイントが大きくランキングポイントに算入出来ている

これらの特徴はワールドツアー/ワールドツアープラチナ大会でのシード選手やワールドカップ、グランドファイナルの出場選手は早い段階での敗退でも大きなポイントを獲得出来ていることを示し、ポイント獲得上は世界ランキング上位選手に有利になっていることを意味します。
もちろん、世界ランキング上位をキープすること自体大変ですし、ワールドカップは地域のカップ戦で上位に入賞することが必要ですし、グランドファイナルもワールドツアーポイント獲得の上位16名しか出場できないのでそれぞれ条件をクリアした上で特権を獲得しているわけです。


 今年2019年のランキングシステムでの大きな変更には優勝以外の獲得ポイントの大幅な減少があります。これは、予選での敗退選手との獲得ポイントの差を少なくしています。またこれにより、 上に述べた(1)と(2)の状況を起き難くしています。
これは、同じ大会を昨年2018年と同じ結果(優勝以外の)で終わると大きくポイントが下がるとともに下位選手との差も小さくなることを意味します。例えば、昨年3月のカタールオープンで2回戦敗退(R16)の場合は1350ポイントを獲得していますが今年の3月のカタールオープンで同じ2回戦敗退だと獲得ポイントは900ポイントしかありません。
もちろん、このポイントの入れ替わりによるランキングポイント減少の問題は優勝以外のどの選手にも起こるるわけですが、今年は特に減少幅が大きくランキングへの影響も大きいです。また、一覧表で赤字のポイントが前半に多い選手は赤字のポイントが後半に多い選手より、このポイントの入れ替わりが早い時期に現れるので、ランキング維持が大変になります。もっとも、ランキングポイントに算入されてないポイントでも高いポイントを持っている石川佳純のような選手の場合はあまり心配はないと思います。

今年2019年のランキングポイントの変更の特徴を考えると上記のような要素からのランキングの変化も気にかかるところです。