国際卓球連盟(ITTF)のホームページで2018年2月の世界ランキングが発表されました。
今回は、1月に行われた以下の大会の結果が影響しています。
*カッコ内は前月順位 |
女子 | ポイント |
男子 | ポイント |
---|---|---|---|---|
1 | 陳夢(中国)(1) | 16845 (±0) | オフチャロフ(ドイツ)(1) | 16545 (±0) |
2 | 朱雨玲(中国)(2) | 16185(±0) | 樊振東(中国)(2) | 16320(+450) |
3 | フォン・ティアンウェイ(シンガポール)(3) | 14195(±0) | T. ボル(ドイツ)(3) | 15165 (±0) |
4 | 石川佳純 (日本)(4) | 13830 (±0) | 林高遠(中国)(4) | 13974(-270) |
5 | 王曼昱(中国)(8) | 13488(+1800) | 許昕(中国)(5) | 13810(±0) |
6 | 伊藤美誠(日本)(5) | 13230(±0) | 丹羽孝季(日本)(6) | 13155(±0) |
7 | 平野美宇(日本)(6) | 12796 (±0) | 馬龍(中国)(7) | 13040(±0) |
8 | 鄭怡静(台湾)(7) | 12375(±0) | 7位. 黃鎮廷(香港)(7) | 13040(±0) |
9 | 杜凱栞(香港)(9) | 11589 (±0) | S. ゴジ(フランス)(9) | 12758(±0) |
10 | リ・ジエ(オランダ)(14) | 11465(+810)) | 松平健太(日本)(10) | 11835(±0) |
11 | 張本智和(日本)(11) |
11760(±0) |
(注)ポイントのカッコ内は前月からの増減です。
1月に開催されたポイント対象の大会はワールドツアーのハンガリーオープンだけだったので、出場しなかった選手も多くポイントが動かず、順位も大きくは動きませんでした。いつも大挙して参加する日本勢も今回は日程が全日本卓球選手権と重なっていたため、参加したのは浜本由惟のみでした。
そんな中で大挙して参加したのは中国勢で通常のワールドツアーにも関わらず陳夢や樊振東などのトップクラスも参加していました。そして、シングルスで優勝した王曼昱が1800ポイントを得て8位から5位に上がりました。また、10位だった陳幸同が落ち代わりにオランダのリ・ジエが上がってきました。ここで、ハンガリーオープンで準決勝で王曼昱に負けて敗退した陳幸同がなぜ下がっているのか不思議に思う方もいるかと思いますのであとで説明します。男子は今大会に参加した樊振東と参加してない林高遠のポイントが変動しましたがトップ10の順位の変動はありませんでした。
日本選手では、女子は早田ひなが11位から14位、加藤美優が14位から15位に下げています。ランキングポイントの変動はないのですが他の選手のポイント変動によるものです。17位の森さくら、19位の佐藤瞳は変わりません。男子は、水谷隼が13位から14位に下げ、大島裕哉が19位から18位、吉村真晴が23位から21位に上げていますが、全員ランキングポイントの変動はなく他の選手のポイントの変動によって順位が変わったものです。
今回ランキングポイントの変動に影響したのはワールドツアーのハンガリーオープンだけなので、何人かの選手のポイント変動の理由を分析してみます。
まず、ワールドツアーのポイントの一覧を挙げておきます。新ポイントシステムの詳細についてはこちらを参照してください。
ワールドツアープラチナ | 最終成績 | ワールドツアー |
---|---|---|
2250 | 優勝 | 1800 |
2025 | 準優勝 | 1620 |
1800 | 準決勝敗退 | 1440 |
1575 | 準々決勝敗退 | 1260 |
1350 | 2回戦(ラウンド16)敗退 | 1080 |
1125 | 1回戦(ラウンド32)敗退 | 900 |
675 | 予選(ラウンド32)敗退 | 540 |
450 | 予選(ラウンド64)敗退 | 360 |
225 | 予選(ラウンド128)敗退 |
180 |
113 | 予選(ラウンド256)敗退 |
90 |
57 | 予選グループリーグでの1勝 | 45 |
まず、比較的単純なのは陳幸同です。次の表は2017年1月から2018年1月までの獲得ポイントの一覧です。
年月 | 大会 | 大会ランク | 最終結果 | ポイント | 加算 |
---|---|---|---|---|---|
2017/1月 | ハンガリーOP | Wツアー | 優勝 | 1800 | △ |
2017/6月 | ジャパンOP |
WTプラチナ | 1回戦敗退 | 1125 | 〇 |
2017/7月 | 豪州オープン | WTプラチナ | 準々決勝敗退 |
1689 | 〇 |
2017/9月 | オーストリアOP | WTプラチナ | 2回戦敗退 | 1464 | 〇 |
2017/11月 | ドイツOP | WTプラチナ | 2回戦敗退 | 1464 | 〇 |
2017/11月 | スウェーデンOP | Wツアー | 優勝 | 1890 | 〇 |
2017/12月 | グランドファイナル | Gファイナル | 準決勝敗退 | 2040 | 〇 |
2018/1月 | ハンガリーOP | Wツアー | 準決勝敗退 | 1440 | 〇 |
(注)「OP」は「オープン」、「Wツアー」はワールドツアー、「WTプラチナ」はワールドツアープラチナの略です。ワールドツアーとワールドツアープラチナのポイント一覧はこちらのページをご覧ください。
この表で判るように陳幸同は昨年1月のハンガリーオープンに優勝して1800ポイントを得ています。ポイントの有効期間は1年間なので今年1月のランキングポイントには含まれていますが、2月のランキングポイントには含まれません。1月のランキングポイントは2017年1月から2017年12月までのポイントの合計11472ポイントで、2月のランキングポイントは2017年2月から2018年1月までのポイントの合計11112ポイントとなり12位に落ちています。
ここで注意するのは、豪州オープン、オーストリアオープン、ドイツオープン、スウェーデンオープンのポイントには予選グループリーグでの2勝のポイントが含まれていることです。例えば、優勝したスウェーデンオープンは優勝の1800ポイントと予選グループリーグでの2勝の90ポイント(45ポイントx2勝)の合計で1890ポイントになっています。1月のハンガリーオープンでは中国の孫穎莎が予選グループリーグから開始して決勝で王曼昱に負けているためワールドツアーの準優勝の1620ポイントと予選グループリーグの2勝の90ポイントの合計1710ポイントがこのハンガリーオープンでのポイントになっています。
次に樊振東のポイント増加を分析します。まず、昨年1月から今年1月までのポイントの一覧を示します。
年月 | 大会 | 大会ランク | 最終結果 | ポイント | 加算 |
---|---|---|---|---|---|
2016/3月 | 世界卓球団体戦 | 世界選手権 | 5勝 | 1250 | |
2017/2月 | カタールOP | WTプラチナ | 準優勝 | 2025 | 〇 |
2017/4月 | アジア選手権 | 大陸/団体戦 | 2勝 | 360 | |
2017/4月 | アジア選手権 | 大陸カップ戦 | 優勝 | 1800 | 〇 |
2017/5月 | 世界選手権 | 世界選手権 | 準優勝 |
2700 | 〇 |
2017/6月 | ジャパンOP |
WTプラチナ | 準優勝 | 2025 | 〇 |
2017/6月 | 中国オープン | WTプラチナ | 2回戦敗退 | 1350 |
△ |
2017/9月 | アジアカップ | 大陸カップ戦 | 準優勝 | 1620 | |
2017/11月 | ドイツOP | WTプラチナ | 準決勝敗退 |
1800 | 〇 |
2017/11月 | スウェーデンOP | Wツアー | 準優勝 | 1620 | 〇 |
2017/12月 | グランドファイナル | Gファイナル | 優勝 |
2550 | 〇 |
2018/1月 | ハンガリーOP | Wツアー | 優勝 | 1800 |
◎ |
樊振東の2018年1月のポイントは〇の大会と△の大会の合計15870ポイントでした。2月のランキングポイントは450ポイント増えて16320ポイントになりました。これは、今年1月のハンガリーオープンで優勝し1800ポイントを得たため1月のポイントの合計に組み入れていた8大会の内ポイントが最低の1350ポイントの代わりにこの1800ポイントを組み入れ、その差の450ポイントが増加しました。
なお、アジアカップの1620ポイントが加算されていないのは、合計する8大会に含むことのできる大陸(コンチネンタル)選手権/カップ戦のポイントは1大会のみという規定があるためにポイントの高いアジア選手権のポイントを加算したためです。
陳夢はハンガリーオープンで準々決勝敗退で1260ポイントを得ています。しかし、現在のランキングポイントを構成する8個のポイントの中で最低のポイントが1620ポイントなのでこの1260ポイントはランキングポイントには使用しないことになり結果としてランキングポイントに変動はありません。
このように、高いポイントでランキングポイントを構成する上位選手は大会で上位に食い込まないとポイントを増やせないようになっています。また、チャレンジシリーズの優勝のポイントは900ポイントなので、有効期間内のポイントが8個以上あり最低ポイントが900ポイント以上の陳夢などの上位選手はチャレンジシリーズに参加してもポイント上は意味がないことになります。
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