【卓球】 2018年6月世界ランキング、平野美宇は7位

国際卓球連盟(ITTF)のホームページで2018年6月の世界ランキングが発表されました。


6月のランキングポイントは原則2017年6月から2018年5月に行われた大会が対象になります。5月に行われた大会では以下の大会がシニアのポイントの対象となりますが、ポイントが大きいのはワールドツアープラチナの中国オープンです。


  • 中国オープン(ワールドツアープラチナ)
  • 香港オープン(ワールドツアー)
  • タイオープン(チャレンジシリーズ)
  • オセアニアカップ(大陸カップ戦)
オセアニアカップはアジアカップと同じ大陸カップ戦のカテゴリでオーストラリアやニュージーランド、フィジーなどオセアニア地域の選手が順位を争う大会です。また、オセアニアカップの優勝者はワールドカップへの出場権を獲得できます。

ではまず今月のランキングを見てみましょう。
 *カッコ内は前月順位  女子  ポイント  男子 ポイント 
 1  陳夢(中国)(1)  16509(±0) 樊振東(中国)(1) 17226(+225) 
 2  朱雨玲(中国)(2) 16299(±0)   馬龍(中国)(6) 15840(+2250)
 3 王曼昱(中国)(4)  15849(+1725)  オフチャロフ(ドイツ)(2)  15815(±0)
 4 石川佳純(日本)(3)  14905(±0)  ボル(ドイツ)(3)  15655(±0)
5  劉詩雯(中国)(10)  14139(+1860)  林高遠(中国)(5)  14964(+450)
 6 伊藤美誠(日本)(7)  13955(+450)  許昕(中国)(4)  14935(±0)
 7 平野美宇(日本)(6)  13418(±0) 黃鎮廷(香港)(7)  13485(±0)
 8 鄭怡静(台湾)(7)  13171(±0) 李尚洙(韓国)(8)  13284(-225)
 9 フォン・ティアンウェイ(シンガポール)(9)  13060(+750)  丹羽孝希(日本)(9)  13065(+284)
 10 陳幸同(中国)(8)  12957(+288)  張本智和(日本)(13)
 13034(+270)
 11 孫穎莎(中国)(14)  12806(+1643)
 12  丁寧(中国)(16)  12759(+2025)

(注)ポイントのカッコ内は前月からの増減です。

 男女ともトップ10の顔ぶれは変わっていませんが、女子は10位だった中国の劉詩雯が5位、男子では中国の馬龍が6位から2位とそれぞれ大きく順位を上げ、いよいよ真のトップが1位を狙って順位を上げて来た感じです。また、5月はワールドツアープラチナとワールドツアーが1大会ずつあったのでポイントを稼いだ選手が多く全体にランキングポイントが増えています。そのため、5月からランキングポイント維持の選手はランキングが下がっています。

平野美宇は劉詩雯が5位まで上がったのでランキングポイント維持でしたが、ずっと維持してきた6位から7位に下がっています。また、香港オープンと中国オープンで準決勝に進出しポイントを稼いだ伊藤美誠もポイントは増えましたがやはり劉詩雯に飛び越されて1つ順位を下げています。石川佳純もランキングポイント維持でしたが、香港オープンと中国オープンで優勝した中国の王曼昱に抜かれて4位に下がりました。

 男子は丹羽孝希、張本智和ともに中国オープンで少しポイントを増やしましたが順位は変わりませんでした。


 そのほかの主な日本選手の順位は、女子は佐藤瞳が14位(12位)、早田ひなが16位(15位)、加藤美優20位(20位)、芝田沙季22位(24位)、橋本帆乃香27位(26位)、森さくら28位(23位)、となっています。芝田沙季は、中国の朱雨玲を破り準決勝まで進んだ中国オープンで1800ポイント稼いでいるので10位代に入ると期待したのですが、900ポイントを増やしたものの2ランクしか上がりませんでした。また、中国オープンで中国の孫穎莎をゲームカウント0-3から大逆転した浜本由惟もポイントを増やし37位から34位に上げています。長崎美柚も52位(68位)といよいよ50位以内直前まで上がって来ています。

男子は、水谷隼が13位(13位)、松平健太が14位(14位)、上田仁23位(23位)と変わりませんでしたが、吉村真晴30位(25位)に下げています。また、𠮷田雅己が31位から27位に上げています。

1. 中国選手の獲得ポイントとランキングポイント

6月の世界ランキングでは上位選手のランキングポイントの変動が少なかったなかで、中国選手だけがポイントを大きく増やしてランキングを上げている選手が多いです(陳幸同は下げてます)。


そこで今月は順位が大きく動いた中国上位選手に注目してみました。まず、5月の大会の結果と獲得ポイントを下の表にまとめました。(ランキングポイントおよび獲得ポイントについてはこちらのページの説明をお読みください。)

馬龍 王曼昱 劉詩雯 丁寧 陳幸同 孫穎莎  顧玉婷
5月Rポイント   13590  14124  12279  10734  12687  11163  8682
タイオープン結果   優勝
 タイ獲得ポイント  900
 香港オープン結果  優勝  準々決勝  準優勝  2回戦敗退  1回戦敗退
香港獲得ポイント   1800  1260  1620  1080 900
 中国オープン結果  優勝  優勝  準優勝  2回戦敗退  1回戦敗退  2回戦敗退
 中国獲得ポイント  2250  2250  2025  1350  563  1350
 最低ポイント  0  1575  0  0  1350  0  0
第2最低ポイント   1200  750  300  0  1350 0   0
6月Rポイント   15840  15849  14139  12759  12957  12806  10932
順位変動   6 -> 2
 4 -> 3
 10 -> 5
 16 -> 12
 8 -> 10
 14 -> 11
 32 -> 17

ここで、Rポイントはランキングポイントを、最低ポイントは5月のランキングポイントに加算されている8大会のポイントで最低のポイントを、第2最低ポイントは次に最低ポイントの次に低いポイントを指します。つまり、これらの最低ポイントより高いポイントを今月獲得すると、そのポイントが最低ポイントに代ってランキングポイントに加算されます。つまり、次の計算になります。


新ランキングポイント = 旧ランキングポイント + 獲得ポイント - 最低ポイント

(実は、これに5月の失効ポイントも加味する必要がありますが、今年5月で失効するポイントはないので今月はこの式で計算できます。)


今回のランキングでは最大3個のランキングが入れ替わる可能性がありますが、注目している選手が出場したのは2大会までなので2個のポイントが入れ替わる可能性があるため、最低ポイントと次に低いポイントを挙げています。

たとえば、王曼昱は今回獲得した2個のポイントが最低ポイントと第2最低ポイントより高いので2個のポイントが入れ替わっています。その結果、6月のランキングポイントは次のように算出されます。


14124(5月) + 1800(香港) + 2250(中国) - 1575(最低) - 750(第2最低) = 15849


陳幸同も同じパターンですが、ランキングポイントの変動が少なかったため逆に順位を下げています。ここに記載していない中国男子選手や、日本選手も含めた中国以外のトップ10の選手の多くがこのパターンです。

また、最低ポイントや第2最低ポイントが「0」になっている場合は、5月のランキングポイントで算入されている大会がまだ8大会になっていない場合です(詳細はランキングポイントの解説をお読みください)。

両方の最低ポイントが0の場合は算入されている大会は6大会以下ということになり、2大会の獲得ポイントは入れ替えでなくそのまま加算できるということです。
たとえば、孫穎莎は、香港オープンが2回戦敗退、中国オープンが1回戦敗退と振るいませんでしたが、5月のランキングポイントを構成する大会が6大会だったので香港オープンの1080ポイントと中国オープンの563ポイントがそのまま加算されています。丁寧も算入されている大会は6大会でしたが5月に出場した大会は中国オープンのみだったので準優勝の2025ポイントがそのまま加算されています。丁寧は6月のランキングで算入されている大会が7大会なので、もう1大会の獲得ポイントをそのまま加算できます。

最低ポイントのみが0の場合は算入されている大会は7大会ということになり、1大会の獲得ポイントはそのまま加算し、もう1大会あってその獲得ポイントがその時点の最低ポイントより高ければ入れ替えて算入するということになります。劉詩雯がこのパターンで、5月のランキングポイントに算入されている大会が7大会でその中の最低ポイントが今年2月のチームワールドカップの300ポイントだったので、5月の獲得ポイント2個のうちの1個がそのまま加算、1個が入れ替えという形で算入されています。

あと、個人的に興味があるのは中国の顧玉婷(グ・ユーチン)です。顧玉婷はシードの平野美宇と昨年4回1回戦で当たり、すべて平野美宇が負けています。シード選手が1回戦で負けるとポイントが半減します。たとえば、上の表の孫穎莎の中国オープンの「563」ポイントがそうです。ワールドツアープラチナの1回戦敗退のポイントは通常は1125ポイントですが、シード選手がいきなり1回戦で負けると半分の563ポイントになります。こため平野美宇はポイントを稼げてません。そして今回の中国オープンでも1回戦で予選から進出した顧玉婷と当たりやはり平野美宇が負けています。もちろん勝てばいい話なのですが、なかなか勝てません。顧玉婷がシードになれば1回戦では当たらないので、顧玉婷のランキングが気になるわけです。6月の世界ランキングでは顧玉婷は32位から17位に上がっています。17位だと、シードになる可能性は高いので1回戦で当たることはなくなりそうです。でも、大会で上位に行くには結局勝たなければならないので平野美宇には頑張ってほしいです。

2. 6月に失効するポイント

6月の世界ランキングでは、昨年5月に行われた大会がポイントが約2年間有効な世界選手権だけだったのでポイントの失効する大会がありませんでした(ポイントの失効についてはこちらのランキングポイントの解説をお読みください)。


しかし、昨年は世界選手権後の6月にジャパンオープンと中国オープンと2大会続けてポイントの高いワールドツアープラチナ大会が開催されたため昨年6月にポイントを稼いだ選手も多くいます。来月7月の世界ランキングではこの昨年6月の獲得ポイントが失効しているため、この2大会でポイントを稼いだ選手のランキングポイントが大きく減る可能性があります。

たとえば、中国の孫穎莎はジャパンオープンで優勝して2250ポイント、中国オープンでは準優勝で2025ポイントを獲得しているため、これらのポイントが失効する上に、6月時点で8大会分しか獲得ポイントがないため代わりに算入される大会がなく、今年の6月にポイントが稼げないと8531ポイントまで大きくランキングポイントが減り、せっかく11位まで上げたランキングも大きく下げる可能性があります。

平野美宇も、昨年のジャパンオープンと中国オープンでは幸い天敵の顧玉婷と1回戦で当たらず、両大会とも準々決勝敗退で1575ポイントを稼いでいるので、入れ替えるポイントはあるものの少なからず影響はあります。


以下に主な選手の、6月に失効するポイントをまとめておきます。

 ジャパンオープン
結果
ジャパンオープン獲得ポイント
 中国オープン
結果
中国オープン
獲得ポイント 
 平野美宇  準々決勝敗退  1575  準々決勝敗退  1575
 石川佳純
 1回戦敗退  563*  準々決勝敗退  1575*
伊藤美誠   準々決勝  1575  2回戦敗退  1350*
 陳夢  準優勝  2025  準決勝敗退  1800
 朱雨玲  ー  ー  準々決勝敗退  1575
王曼昱
 準決勝敗退  1800  ー  ー
劉詩雯  ー  ー  準決勝敗退  1800
 丹羽孝希  準々決勝敗退  1575  準々決勝敗退  1575
張本智和   予選最終R敗退  675*  準決勝敗退  1800
 水谷隼  準決勝敗退  1800  ー  ー
松平健太   2回戦敗退  1350  2回戦敗退  1350*
樊振東  準優勝  2025  2回戦敗退  1350*
 馬龍  優勝  2250  2回戦敗退  1350
 オフチャロフ  ー  ー  優勝  2250
 ボル  1回戦敗退  563*  準優勝  2025
 許昕  準決勝敗退  1800  2回戦敗退  1350*
 林高遠  2回戦敗退  1350*  予選最終R敗退 675*

なお、「-」は出場しなかった大会を、ポイントの後ろの「*」は6月のランキングポイントに算入されていない獲得ポイントを示します。

6月のランキングポイントに算入されていない場合、7月のランキングポイントでその獲得ポイントの失効の影響はありません。