国際卓球連盟(ITTF)のホームページで2018年5月の世界ランキングが発表されました。
5月のランキングポイントは原則2017年5月から2018年4月に行われた大会が対象になります。4月に行われた大会では以下の大会がシニアのポイントの対象となりますが、ポイントが大きいのはなんといっても世界選手権です。また、今回の世界選手権の獲得ポイントは2年後の世界選手権団体戦のポイントが算入されるまで有効です。
*カッコ内は前月順位 | 女子 | ポイント | 男子 | ポイント |
---|---|---|---|---|
1 | 陳夢(中国)(1) | 16509(+114) | 樊振東(中国)(1) | 17001(+456) |
2 | 朱雨玲(中国)(2) | 16299(+114) | オフチャロフ(ドイツ)(3) | 15815(+350) |
3 | 石川佳純(日本)(3) | 14905(+130) | ボル(ドイツ)(2) | 15655(-50) |
4 | 王曼昱(中国)(5) | 14124(+150) | 許昕(中国)(4) | 14935(±0) |
5 | 伊藤美誠(日本)(7) | 13505(+500) | 林高遠(中国)(5) | 14514(±0) |
6 | 平野美宇(日本)(6) | 13418(-390) | 馬龍(中国)(6) | 13590(-650) |
7 | 鄭怡静(台湾)(8) | 13171(+301) | 黃鎮廷(香港)(7) | 13485(-500) |
8 | 陳幸同(中国)(9) | 12687(±0) | 李尚洙(韓国)(8) | 13059(+114) |
9 | フォン・ティアンウェイ(シンガポール)(4) | 12310(-2200) | 丹羽孝希(日本)(9) | 12781(-149) |
10 | 劉詩雯(中国)(10) | 12279(+250) | 張本智和(日本)(13) |
12764(+824) |
(注)ポイントのカッコ内は前月からの増減です。
女子はトップ10の顔ぶれは変わっていませんが4位だったシンガポールのフォン・ティアンウェイが大幅に下げました。平野美宇は伊藤美誠に抜かれたのですがフォン・ティアンウェイがっ下がったために順位は6位と変わりません。昨年12月から2月に1度7位に下がっただけで6位が続いています。
男子は4月の世界ランキングで13位だった張本智和が4月に行われたアジアカップの5位と世界選手権で稼いだポイントでポイントを積み増し10位に入りました。1位~9位はオフチャロフとボルの順位が入れ替わっただけで他の順位は変わっていません。
そのほかの主な日本選手の順位は、女子は佐藤瞳が12位(13位)、早田ひなが15位(18位)、加藤美優20位(19位)、森さくら23位(22位)、芝田沙季24位(24位)、橋本帆乃香26位(23位)となっています。男子は、水谷隼が13位(11位)、松平健太が14位(14位)、上田仁23位(25位)、吉村真晴25位(22位)となっています。
また、中国の孫穎莎がランキングポイントは変わっていませんが16位から15位に上がりました。丁寧は昨年4月のアジア選手権の準々決勝敗退の1260ポイントと前回の世界選手権団体戦の1500ポイントがなくなり、今回の世界選手権団体戦の1500ポイントが加わり、差し引き1260ポイントのマイナスで11位から16位まで下がってしまいました。丁寧は5月24日からの香港オープン(ワールドツアー)には出場しませんが、5月31日からの中国オープン(ワールドツアープラチナ)には出場します。
今回トップ10の順位は男女とも少しずつ変動しましたが、その中で女子のシンガポールのフォン・ティアンウェイが前月からランキングポイントが2200ポイントも減り4位から9位に大幅に順位を下げました。そこで、今月はフォン・ティアンウェイの4月から5月のランキングポイントの変動に注目します。
まず、フォン・ティアンウェイの4月と5月のランキングポイントを構成するポイント上位8大会をまとめてみます。
4月ランキング |
結果 | ポイント | 5月ランキング |
結果 | ポイント | |
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2016世界選手権(2016/03) | 11勝 | 2750 | ① | 2017世界選手権(2017/05) | 準々決勝敗退 | 2100 |
韓国オープン(2017/04) | 優勝 | 1800 | ② | 中国オープン (2017/06) |
準々決勝敗退 | 1575 |
2017世界選手権(2017/05) | 準々決勝敗退 | 2100 | ③ | ジャパンオープン(2017/06) | 2回戦敗退 | 1350 |
中国オープン(2017/06) | 準々決勝敗退 | 1575 | ④ | グランドF (2017/12) |
準々決勝敗退 | 1785 |
ジャパンオープン(2017/06) | 2回戦敗退 |
1350 | ⑤ | チームWカップ(2018/02) | 2勝 | 600 |
グランドF (2017/12) |
準々決勝敗退 | 1785 | ⑥ | ドイツオープン(2018/03) |
準決勝敗退 | 1800 |
ドイツオープン(2018/03) | 準決勝敗退 | 1800 | ⑦ | カタールオープン(2018/03) | 2回戦敗退 | 1350 |
カタールオープン(2018/03) | 2回戦敗退 | 1350 | ⑧ | 2018世界選手権(2018/04) | 7勝 | 1750 |
ポイント合計 | 14510 | ポイント合計 | 12310 | |||
アジア選手権 (2017/04) |
準々決勝敗退 | 1260 | 次点 | 2017東南アジアゲーム(2017/09) | 優勝 | 600 |
ランキングポイントに算入される大会は8大会ですが、各大会で獲得したポイントには有効期限があります。ポイントの有効期限は以下の2種類です(シングルスの場合です。ランキングポイントシステムの詳細はこちらをご覧ください)。
もう1つ、世界選手権団体戦での獲得ポイントについて触れておきます。
と言っても世界選手権の団体戦の場合、非常に単純で1勝当たり何ポイントと決まっているので勝った数を掛けるだけです。
たとえば、平野美宇はグループリーグは1試合だけ出場せず4勝、決勝トーナメントは準々決勝と準決勝で1勝ずつなので2勝で全部で6勝です。日本の属していたトップのチャンピオンシップディビジョン(試合方式の説明参照)の1勝は250ポイントになるので、
6勝 x 250 = 1500 (ポイント)
となります。同様に、石川佳純はグループリーグで全試合に出場し5勝、決勝トーナメントでは準々決勝と準決勝で1勝ずつで2勝で合計7勝なので1750ポイントとなります。フォン・ティアンウェイも同じ1750ポイントなので7勝ですね。これは、3番手が弱いチームだとエースが1試合で2勝するケースもあるため決勝までいかなくても勝ち数が多くなることがあります。2016年の世界選手権団体戦のフォン・ティアンウェイの2750ポイントがまさにそのケースの典型ですね。
そして伊藤美誠は、グループリーグで5試合全部に出場して5勝、そして決勝トーナメントは準々決勝、準決勝で、決勝で勝ったので3勝で合計8勝で2000ポイントとなります。これは、ワールドツアープラチナの優勝ポイントが2250ポイントであることを考えても大きなポイントです。さらにもう1点、このポイントは2020年の世界選手権団体戦まで有効なのです。ご存じのように、2020東京オリンピックのシングルス代表2名は2020年1月の世界ランキングでの日本選手の上位2選手となっていますが、今回の世界選手権団体戦のポイントは2020年1月の時点でまだ有効でランキングポイントに算入されるということです。つまり、この時点で伊藤美誠は一歩先行したことにもなります。その意味でも決勝の1勝は大きかったわけです。
さて、世界選手権団体戦のポイントシステムに話を戻します。チャンピオンシップディビジョンのグループリーグは24チームが戦い1勝につき250ポイントでした。そして、グループ1位~3位が決勝トーナメントに進出しここでも1勝につき250ポイントです。では、グループ4位~6位で行う順位決定トーナメントも1勝につき250ポイントなのでしょうか。ここの1勝が決勝トーナメントの1勝と同じポイントだと不公平ですよね。ですから、順位決定トーナメントでは1勝につき180ポイントになってます。でも、180ポイントって悪くないですよね。順位決定トーナメントでも結構稼いだ選手がいるかもしれません。
ちなみに、ディビジョン2のグループリーグと決勝トーナメントは1勝につき125ポイント、順位決定トーナメントは90ポイント、ディビジョン3は85ポイントと70ポイントになってます(話について行けない方はこちらを参照してください)。