10月に男子と女子の卓球のワールドカップが開催されます。昨年16歳で最年少優勝した平野美宇は連覇を狙いますが、今回は中国も本気です。
ワールドカップは格付けではオリンピック/世界選手権とワールドツアープラチナの間ぐらいの位置づけです。男子と女子は別大会で、男子はベルギーのリエージュで10月20日から3日間、女子はカナダのマーカムで10月27日から3日間開催されます。招待選手は、男女ともそれぞれ20人で、世界各大陸のカップ戦の優勝者およびアジアカップと欧州カッブの2番目と3番目の選手、各大陸のカップ戦の上位入賞選手で構成されます。日本からはアジアカップからの出場枠で石川佳純と平野美宇が、男子はアジアカップ上位入賞者枠で水谷隼と丹羽孝希が出場します。
中国からは、女子は丁寧(劉詩ウェンに変更されました)と朱雨玲、男子は馬龍と林高遠が参加します。出場選手が各国2選手に制限されているためアジアカップ2位の劉詩ウェンが出場できず、平野美宇が繰り上げで3番目の枠に入りました。もちろん、上位3人の枠に入れなくてもアジアカップの上位入賞者の枠には入れたので出場はできたと思いますが。
[追記]10/2時点のリストで中国代表の1人目は丁寧から劉詩ウェンに変更されています。つまり、劉誌ウェンはアジアカップ2位での参加ではなく世界選手権優勝者枠の丁寧の代理での参加です。
以下に、参加者、試合方式、見どころをまとめます。
男女20名で、内訳は世界選手権優勝者1名、各大陸(アジア、アフリカ、欧州、オセアニア、北南米(パンナム))カップ戦優勝者1名、アジアカップ・欧州カップ2~3番目、パンナムカップ2位、各大陸カップ上位7名、カナダ(地元)1名、その他1名です。また、各国2名までです。
以下が今回の出場者です。カッコ内の数字は7月の世界ランキングです。
枠 | 女子 |
男子 |
---|---|---|
世界選手権優勝者 | 劉誌ウェン(4、中国)(代理) | 馬龍(1、中国) |
アジアカップ優勝者 | 朱雨玲(2、中国) | 林高遠(9、中国) |
アフリカカップ優勝者 | ディナ・メシュレフ(103、エジプト) | クアドリ・アルナ(36、ナイジェリア) |
パンナムカップ優勝者 | リリー・チャン(79、アメリカ) |
グスターボ・ツボイ(112、ブラジル) |
パンナムカップ準優勝 | ポーリーナ・ベガ(249、チリ) | カナック・ジャ(228、アメリカ) |
オセアニアカップ優勝 | レイ・ジャン・ファン(117、オーストラリア) | デイビッド・パウエル(339、オーストラリア) |
欧州カップ優勝者 | リー・ジエ(20、オランダ) | ドミトリ・オフチャロフ(4、ドイツ) |
アジアカップ2番枠 | 石川佳純(5、日本) | リー・サンス(16、韓国) |
アジアカップ3番枠 | 平野美宇(6、日本) | 陳建安(33、台湾) |
欧州カップ2番枠 | マチルダ・エクホルム(44、スウェーデン)(代理) | アレクサンダー・シバエフ(41、ロシア) |
欧州カップ3番枠 | サビーン・ウィンター(52、ドイツ) | シモン・ゴジ(13、フランス) |
上位入賞者枠1 |
リュウ・ジャ(35、オーストリア) | 水谷隼(7、日本) |
上位入賞者枠2 |
ゲオルギナ・ポータ(32、ハンガリー) | コウ・レイ(34、ウクライナ) |
上位入賞者枠3 | 陳思羽(32、台湾) | ティモ・ボル(5、ドイツ) |
上位入賞者枠4 | セオ・ヒョウオン(27、韓国) | オマール・アサール(21、エジプト) |
上位入賞者枠5 | 杜凱栞(19、香港) | 丁祥恩(36、韓国) |
上位入賞者枠6 | 鄭怡静(10、台湾) | 荘智淵(15、台湾) |
上位入賞者枠7 | 李皓晴 (42、香港) | 丹羽孝希(8、日本) |
ホスト国 | チャン・モー (59、カナダ) | セドリック・ヌイティンク(43、ベルギー) |
ワイルドカード | エリザベス・サマラ(26、ルーマニア) |
マルコス・フレイタス(19、ポルトガル) |
[追記]10/2付の参加予定リストです。女子では、丁寧の代わりに劉誌ウェンが、ドイツのソルヤの変わるにスウェーデンのエクホルムになっています。
試合はステージ1とステージ2に分けて行われます。最新ランキング上位8選手はシード選手となり2ステージからとなります。ステージ1では、残りの9位から20位までの選手でステージ2に進む8名を決めます。ステージ2は、シード選手8名とステージ1から勝ち上がった8名の16名でトーナメント方式で優勝を争います。ゲームはすべて7ゲームマッチで行われます。
ステージ1の試合方式:
以下の手順でA~Dの4グループ(3人ずつ)に分けられ総当たりで順位を争います。
総当たりで2試合ずつ行い1~3位を決定します。
ステージ2の試合方式:
1~16の枠には次のように割り振られます。
今回の組み合わせを見ると、女子は世界ランキングの現在の1位と2位こそいますがトップ10はアジアカップの6人より1人少ない5人の上、石川佳純と平野美宇はシード順の3番目と4番目と思われるため順当に行けば準決勝までは行けるはずです。準決勝はたぶん石川佳純が8枠で1枠の丁寧朱雨玲と、平野美宇が9枠で16枠の朱雨玲劉誌ウェンとの対戦になるはずです。平野美宇は、アジアカップで朱雨玲に2回ストレートで敗れてますので朱雨玲に劉誌ウェンに勝って決勝に進んでリベンジして欲しいです。
昨年は中国選手がいなかった大会と言われますが実際には丁寧と劉詩ウェンが出場予定でしたが二人が立て続けに病気での欠場を直前に表明したため中国選手のいない大会となってしまいました。昨年はオリンピックの疲れがあって気が緩んだのかもしれませんが、今年は丁寧は世界選手権優勝、全中国運動会でも初優勝し「大満貫」を達成し気力は充実しているようです。また、劉誌ウェンは、丁寧の代理ですが、全中国運動会でも準優勝、アジアカップでも2位なので最近精彩がないように見えますがそんなことはありません。朱雨玲も世界選手権で準優勝し、全中国運動会では準決勝で丁寧に負けたものの団体優勝に貢献し、アジアカップも優勝と波に乗っています。二人ともアジア選手権で平野美宇に負けたのをきっかけに心身ともにバージョンアップして充実しているようです。平野美宇は7月後半から9月のアジアカップまでの休みで対中国の秘密兵器を開発していればいいのですが、アジアカップや先日のオーストリアオープンを見ていると不安になります。秘密兵器を見せないための不調と思いたいですが、顧玉婷(グユーチン)辺りの一軍ミドルの選手には安定して勝って欲しいです。
今回、中国選手以外で警戒するのは、アジアカップで予選で負けた香港の杜凱栞(ドゥホイカン)でしょう。平野美宇は試合をしながら徐々に調子を上げて行くタイプなので、初戦となるステージ2の1回戦でのいきなりの対戦は避けたいですね。
男子は、中国勢以外にヨーロッパ勢にも上位選手がいるため女子よりは大変だと思います。丹羽孝希はアジアカップが振るわずギリギリの出場ですが、シードは世界ランキング順なので水谷隼同様ステージ2から出場になると思います。組み合わせによっては、準々決勝からトップ10の選手と対戦する可能性があります。